___ゴッホと病気

           
 精神科の病気には大きく分けて、分裂病,躁鬱病、神経症、てんかんがあります。 ゴッホは最終的には分裂病、てんかんと言われていたようですが、私は神経症、ヒステリーではなかったかと考えます。 それにゴッホ本来の性質、群発頭痛、閃輝暗点、耳鳴りなどが加わったのではと。医学的な意味のヒステリーは、大声をあげて倒れたりしますが、自分の安全なところに倒れます。注目を引き、自分を見ていて欲しい、愛されたい、見て欲しいという願望が強い、しかし自分を傷つけることは避けようとします。
サンレミの精神病院 ゴーギャンと暮らした黄色い家


ジギタリスをもつ
医師ガシュエの像

ゴーギャンとの生活で耳を切ってしまいますが、これははずみで切ってしまったかもしれません。 そこまでするつもりも無かった、しかし耳は簡単に切れてしまい驚いたのが本音であったのでは。 また、その耳をラシェルという娼婦に送る、これも自分を見て欲しいという願望の現れとも思えます。 シャニックの前でテレピン油を飲もうとしたのも、ヒステリーのなせる業と考えられます。 サンレミの病院に入ったのも、村の人々からの非難から逃れる意味もあったようです。


 ゴッホの手紙の多さ、内容、旺盛な創作活動から分裂病、躁鬱病は考えにくいと思います。 ゴッホの自殺は小林英樹さんの「ゴッホの遺言」を支持します。 ゴッホは正常でありましたが、しかしテオの奥さんのヨーの出現により、経済的な不安が覆い被さっていきました。 またテオはいつも自分の分身であったはずなのに、ヨーに気兼ねして、自分がいるために弟を苦しめてしまうと思うようになったのです。(実際、ヨーにしてみれば、お金を送ることは不満、子供もいるし、テオは会社を辞めて独立したいという) ゴッホとテオは昔はなんの隠し事もなく信頼していました。 しかし次第に遠慮がでてきます。 ゴッホをかこんでテオとヨーは嫁姑の関係であったと思えます。 ガシュエ博士の娘にも近づくなといわれ、ゴッホは愛する人に愛されたくて仕方が無いのに、一人孤独でいたのでしょう。 それがおかしな言動をおこさせてしまいます。 借りてきた銃で胸を撃ち、ラブー邸に運び込まれます。 しかし、ガシュエ博士とパイプをくわえて一日話をしていたので、ガシュエも手術しようという気にもならなかったそうです。 銃で胸を撃つ事は病気のなせる業か、そうならば、うつ病の回復期も考えられます。 ヨーとテオのこと、将来のことを考えると、うつになっても不思議ではありません。しかし、うつではあんなに精力的に絵はかけません。 ヒステリーのつもりが、はずみで本当にうってしまった? (自分で自分を殺す自殺は病的な状態でないとできない、それで、自殺でも保険がおりるようになったと聞いています) ゴッホはテオをもとのように自分に引き寄せたいために、自殺を半分本気で試み、実際に引き金を引いてしまったのではないでしょうか。