セザンヌのアトリエ ミラボー橋





 エクスの街はセザンヌの街、下を見て歩きます。 15センチほどの黄金色の丸い金属にセザンヌマークがついていて2,3メートルごとにそれが埋め込まれています。 それをたどると彼の生家、住まい、父のいえ、母の家などにいけます。 ザンヌのお父さんは初め帽子屋をしていました。 そこの横によくセザンヌが通ったカフェーがあります。 お父さんは銀行もつくり成功し、彼を法律家にさせようとしたそうです。 彼の通った学校もありました。 セザンヌはそれも、商売もむいていないということで、絵を描き始めたということでした。 お父さんが死んで、遺産を兄弟で分け、それでアトリエをつくり、街から歩いて通ったそうです。




 ミラボー橋、アポリネールは恋の終わりを思い出の場所に託して詩をつくる。 これはシャンソンの語りの部分になっていて、聴いていますとしみじみとした気分になってきます。



ミラボー橋の下を
セーヌ河が流れ
われらの恋が流れる
わたしは思い出す
悩みのあとには
楽しみがくると
日も暮れよ 鐘も鳴れ
月日は流れ わたしは残る
 アンリー・ルソーはアポリネールとマリー・ローランサンが恋人同士だった頃、「詩人に霊感を与えるミューズ」という絵タイトルで二人を描いています。しかし二人は結局別れることになります。
 アポリネールは恋の終わりにミラボー橋を詩にしましたが、ローランサンは愛のさなかにミラボー橋を描いたといわれています。 「 アポリネールとその友人たち 」 の絵の中に確かに橋がかかれています。 私もこの橋を見るためにタクシーを飛ばしたことがあります。
 もうひとつ橋で思い出すのは映画「哀愁」です。 ビビアン・リーとロバート・テーラー、二人が始めて出会うのがワーテルロー橋。 ビビアン・リーが馬車に身を投げて悲恋が終わるのも同じワーテルロー橋。 テーマ音楽が別れのワルツ、日本では蛍の光で知られています。 この曲をバックに、二人が一番幸せなときにワルツを踊るのです。 ローソクの光が踊る二人を照らしています。 若い果敢な頃この映画を見ましたが、今見てもきっといい映画だと思います。 橋を描かれる方は橋の向こうに描きたいなにかがあり、橋に思いを託して描かれているのではと考えたりします。