「無言館」と「父への手紙」

 長野県上田市の無言館にかねてから行きたいと思っておりましたので、訪れました。かなり不便なところでしたが、地元の友達が車で送ってくれました。中に入りますとおごそかな感じがします。絵と画家についての説明を見て、遠い過去の彼らの無念、生きていたら、という思いを感じました。26歳ぐらいで多くの人が戦死しています。あの昔、美学校に行くのはその人も家族の方も大変であったでしょう。すばらしい才能が花開かず、散っていったのです。帰りに説明書を買いました。それで、初めて、館長が「父への手紙」を書いた窪島誠一郎と知りました。
20年ぐらい前、ある人にぜひ読んでと言われ、読んだ本です。多分その人も同じ思いをしたことがあるのではと思っています。自分の父を知らず育ち、実の父、有名な小説家、水上勉に会いにいく話ですが、じっと思いを胸に秘めてきた人のされたことと、よりいっそう感銘を受けました。