モンテクリスト伯
巌窟王

  テレビのなかった子供の頃、「巌窟王」、「一丁目一番地」、「少年探偵団」、「ああ無情」、「コロの物語」などという連続ラジオドラマがありました。時間が来るのが待ちどうしかったのを覚えています。
  WOWWOWでモンテクリスト伯(巌窟王)を見ました。マルセイユからエドモン・ダンテスが閉じ込められていたことになっているイフ島を見てモンテクリスト島にも思いをはせました。ダンテスが友人に陥れられ結婚式の当日逮捕されます。恋人はその友人と結婚してしまいます(映画は原作とは違うかもしれません)。その理由がずーっとわからないでいました。
  子供はダンテスの子、それは知っていました。ダンテスが逮捕され恋人は彼が死刑になったときかされます。ところがお腹にはダンテスの子供がいます。当時としては父親なしに子供をつくることは大変なことだったのでしょう。「永遠の愛を誓ったはずだ、なぜすぐあんな男と結婚したんだ」とダンテスは詰め寄ります。
             

デュマ像

モンテクリスト城

マルセイユからイフ島を臨む
  ラストに近い場面、決闘シーンで友人、ダンテス、妻(恋人)息子がいる場面でそのことが明かされ、ダンテスも息子も驚きます。私もなぜ彼女がすぐ結婚したのか、多分悲しみにくれ、やさしくされた男に心の空白を埋めてもらいたかったのだと思っていました。当時の事情からすると(ナポレオンの時代でも)、父のいない子供、また結婚していない女が子供を持つと言うことは保守的なキリスト教社会では苦しいことであったと想像されます。長い年月の後、「ああそうだったのか」と初めてわかった気がしました。
  昔世間体などをフランスではかなり気にしていたと思われます。イル・ド・フランス、パリから列車に乗ってある町に降りました。「地球の歩き方」を手にそこに行きました。アレクサンドル・デュマ の作った庭がありました。彼の夢のあとのようです。彼は黒人奴隷の孫として生まれたそうです。差別や偏見によってだめになる場合と逆にえらくなる人がいるようです。お金が出来たとき、彼は自分の城を作ります。
  イフ島に見立てた周りを池で囲まれた塔のようなものもありました。書斎には昔の彼の作品(初版本らしい)演劇のポスターなどが貼られていました。放蕩癖のため金があったりなかったりの生活。この作品はギリシャ神話、オデッセイを一例に多くの影響を感じさせるものだそうです。この庭は面白く、洞穴を潜り抜けたり子供が喜びそうな仕掛けがありました。その後私は南フランス、マルセーユにあこがれます。そして紺碧の海に浮かぶイフ島を見ました。風の強い日でした。マルセイユの高台にある教会から見下ろせます。イフ島には小説がベストセラーになるやいなや、エドモンダンテスの牢屋というのが出来たそうです。
  
  今出来ちゃった結婚が日本では多くなっています。またシングルマザーも増えています。お腹に子供のいる人が、それを承知で結婚してくれる話、映画音楽で有名なフランス映画「シェルブルールの雨傘」です。きれいな傘屋さんの娘が恋をする、そして戦争だったと思いますが、二人の仲は引き裂かれる、お腹は大きくなってくる。年の離れた紳士が私が一緒になって面倒見ますよということで結婚。数年後二人は出会う。悲しい話ですが、ミュージカル調で会話が全て音楽のリズムに乗っているため、悲しさが半減されています。
  映画「ひまわり」では戦争による悲劇による別れ。ソフィア・ローレンが夫のマルチェロ・マストロヤンニを探して会いに行きますが彼は他の人とすでに結婚して子供がいます。あの映画音楽は高校時代からの友人のシャンソン歌手、広瀬 敏郎 が歌っていますが、しみじみとしたいい曲です。
(http://www.chansonnet.com/ala4/ala5/)