パリにて

           

マルモッタン美術館

1)ブローニュの森の手前にある、かねてから行きたいと思っていたマルモッタン美術館を訪ねました。ここはタクシーですぐ行けます。庭園も素敵でこんなうちに住めたらすごいなーという感じです。この美術館には印象・日の出という記念すべき作品があります。この作品を見た当時のサロンの人たちは(ウイリアム・ブグローなど)ひどい絵と思ったことでしょう。ブグローなどの怒りが解るように思います。ブグローの絵はすばらしい、しかし根本的に違う絵の誕生を彼は理解できなかったと思います。(私は新しい絵画とは写実より抜け出て抽象に向かうと感じています)

モネの作品の中でほとんど見えなくなった眼で描いたと思われるシリーズが4、5点ありました。(フランス語が読めないのでこれであろうという推測は悲しいものがあります。あとで確認したいと思っています)これらの作品を見て感じたことは油絵の具の色そのものを感じてしまうこと、タッチもそれぞれ独立してしまい調和が見て取れないということです。また絵面がきれいでなく、ごつごつとしていて溶き油をうまく使えなかったではないかと想像させます。


モネ 「印象・日の出」

サン・マルタン運河

2)私の友人のアシュラさんの描かれているサン・マルタン運河を一度見てみたいと思い訪れました。アシュラの絵にあるのはこのあたりだなと思い感慨深く歩きました。疲れてカフェにはいり、いつものようにチップはいくらかなと悩みます。ボーイさんは陽気でまあいいかと請求値だけ置いてでましたが、あとであれでよかったかなと取り越し苦労。エリックの奥さんに北ホテルがあると聞いて驚きました。北ホテルは北駅にあるとばかり思っていましたから。ここはレストランになっていて、昔の映画の写真なんかがあって雰囲気もよろしい。

中学生のころ、この小説をおませにも読んで大人とは、フランスとはこういうものかと思ったことを思い出しながらビールを飲み、運河に行き交う人を見ていました。秋のようなパリの午後になにかしらいい音楽が流れていました。

3)友人のエリックに彼のアトリエに連れて行ってもらいました。パリ市内から車で20分くらいのところ、静かな住宅街。小さな庭付きのアトリエで昔の家具とか調度品などがおいてありました。彫刻家のアトリエを満喫し、それから40分くらい車に乗ってヴォー・ル・ヴィコント城のキヤンドルで飾った庭とお城を見に行きました。つくまでに、川や野原を見ましたがヨーロッパ絵画にでてきそうな光景がいっぱいです。


ヴォー・ル・ヴィコント城

このまま描けばああいう絵ができるのだという感じです。日本と違って山が無い風景、ゴッホのオーヴェルのカラスのいる麦畑も一面見渡せる、それ以上のものです。空も日本とは違います。夜になるとパリから離れているので星も見えます。このお城はベルサイユの小型と言っていいでしょう。ろうそくの光の中、昔の貴族の生活をしのぶ旅でした。