オランジュリー美術館  
vs 国内展示企画
                                                                                                                        2007/2/12

 

  パリで今回(2007年初)オランジュリー美術館に初めて入ることができました。私がパリに最初に行ったころ、なんと休館日、その後も何度か訪れましたが運悪く入れませんでした。 オランジュリーの建物は16世紀に造られ黄色の城壁があった。 1852年にオランジュリー美術館は設立される。 オランジュリーという語源は冬季に鉢植えのオレンジの木を収容する温室を意味するとのこと。

  



オランジュリー美術館


モルトフォンテーン 「想い出」 1864
  モネの睡蓮の作品群にポール・ギョウムの作品群が加わり天井がふさがれ、自然光が失われてしまい、1990年代初めに改修が検討され2000年から2006年までの工事が行われた。睡蓮を見てモネの光に対する執念に驚く、それ以上に驚いたのはヴァルテール・ギョームコレクションである。ここにあったのかと本物を始めて見る名画。 ユトリロやドランの私の再認識。ここにある絵は彼らに対する私の考えを変えさせました。 6年間フランス政府はこれらの絵をどこかに貸し出していたのだろうか? どこかにしまっていたとしたらもったいない話。
  フランスから帰ってきて成田から東京に戻りブリヂストン美術館の「じっと見る印象派から現代まで」という企画を鑑賞。 これらを見て感じたことは、ここに展示された絵を見て、絵を描いた当事者はきっといい顔をしないだろうということ。 たとえばコローの絵が3枚ありましたが、モルトフォンテーンの「思い出」などと比べるといい絵ですが、コローにしてみれば、この絵を俺の代表作として出してくれるなと言いたいでしょう。ゴーギャンやゴッホも同じことを言うと思います。

  展覧会で本人が選んで出品するときは本人の意思が働きますが、今回のブリヂストンの展示方法では不公平さが目立ちます。 私の好きなモーリス・ヴラマンクの絵は1枚だけ、佐伯が言った昔のヴラマンク、色彩のオンパレード、フォーブそのもの一枚だけです。ヴラマンクの到達した白と黒の世界がありません。 彼が生きていたら「おい、なんとかしてくれ、これで俺を評価しろと言うのか?」とヴラマンクは叫ぶでしょう。 こういう企画よりもモネ展とか佐伯祐三展とか一作家を展示するほうがベターではないかと思いました。