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医学と芸術の旅

パスツール

H.G.ウエルズの「宇宙大戦争」という小説、映画がありました。子供の頃、最後のシーンで円盤が落ちてきて、中から一つ目の宇宙人が死んでいったように記憶しています。人類は火星人の円盤から発せられる光線に壊滅状態になります。しかし、最後に彼らは地球の細菌におかされ地球は助かります。H.G.ウエルズは1866年に生まれ、1945年第2次世界大戦が終わった翌年1946年になくなっています。細菌、免疫の研究を彼は肌で感じていたのでしょう。最近の映画ではインデペンデンスデイ、宇宙船にコンピューターウイルスを送り込みます。マーズアッタク、この映画では昔の歌が宇宙人をやっつけます。


では、細菌はどのように発見されたのでしょう。顕微鏡はオランダの眼鏡職人によりメガネのレンズが偶然2枚重なった時、発明されました。これをレーウェンフック(1632〜1723)が実用化しました。 彼の発見にはバクテリア、原生動物、精子などがあります。宇宙の大きさに対して小さな世界があることに人類は気がついたのです。
その頃、病気は「悪い空気」「病気の種」によるものとされています。パスツールは、1857年に微生物の働きによって発酵が行われるという理論を打ち立てます。 ぶどう酒、ビールの被害が微生物によって起こること、1867年に脳卒中で倒れてからも蚕の伝染病はある種の微生物に原因があることをつきとめました。つまり、彼は病気を移す神秘的な「物」は「生物」であると医師たちに教えたのです。


白鳥の首「フラスコ実験」( *次段落参照 ) により自然発生説(腐敗物質から小動物が発生する)を否定します。このことからパスツリゼーション(低温殺菌法)も開発します。また彼は炭素病ワクチン、狂犬病ワクチンをつくります(免疫実験の成功)。それを記念してパスツール研究所には「ジュプチィユと狂犬の像」があります。細菌学及び免疫学の初期理論はパスツールによってつくられたといっていいでしょう。

白鳥の首「フラスコ実験」

小動物の自然発生の否定のため行った実験。容器に肉汁を入れ沸騰させた後冷ましたものには小動物(微生物)は発生しません。フラスコの首を短く折るか、入り口を浸すように再度肉汁を入れると発生する。小動物は空気等を伝わり生ずることを証明した。
パスツール研究所には当時のものが今なお腐敗せずにあるという。