木造建築ならではの3つの魅力
近年、環境保護の観点から注目されている木造建築。そして、建築技術が向上したことで建てられることの多くなった大規模木造建築物。鉄骨造やRC(鉄筋コンクリート)造が主流になった今、どうして木造が求められているのか。浅田設計室では、それには木造建築にしかない3つの魅力があるからと考えています。
その1 安らぎと癒しを与えてくれる
木には、自然素材ならではのぬくもりがあり、香りや感触、色、そして経年とともに増す風合いなど、そのすべてが安らぎと癒しを与えてくれます。木造建築は、人が過ごすうえでもっとも落ち着ける空間といってもいいでしょう。実際に、2011年12月に実施された「森林と生活に関する世論調査」(内閣府)の結果では、80%以上の方が家を建てる場合に希望する構造として木造を選択しています。
また最近では、この木造建築のぬくもりや癒し効果が注目され、福祉施設や児童施設などでの採用が増えています。
その2 健康に良い
木には調湿作用や紫外線の吸収作用、ダニ発生の抑制作用など、人の健康的な暮らしを支えるさまざまな作用があります。また、木材はコンクリートやビニールタイルなどと比べて熱伝導率が低い(断熱性が高い)ため、室温や床表面温度の急激な変化がありません。温度変化に対する適応力が低いお年寄りなどにとっては、身体への負担を和らげる重要な役割を果たします。
- 調湿作用
- 内装の違いによる住宅内の湿度変化
- 紫外線の吸収作用
- 波長ごとの反射率の違い
- ダニ発生の抑制作用
- カーペットからフローリングに改装した場合の変化
- 熱伝導率の低さ
- 床材の違いによる足の甲の温度変化
その3 環境にやさしい
木造建築が環境にやさしいといわれるのには、大きくわけてふたつの理由があります。ひとつは地球温暖化の防止効果。きちんと管理された森林から得られる木材を利用することで森林の育成サイクルが保たれ、CO2の吸収量の多い若い森林が育てられます。また、吸収されたCO2は木材になっても排出されることがないため、木造建築が増えれば増えるほど、街のCO2削減量も増えていきます。
もうひとつは、素材成型時の消費エネルギーがコンクリートや鉄、アルミニウムなどと比べて少ない量で済むこと。木を1とした場合、コンクリートは8倍、鉄は350倍、アルミニウムは1460倍のエネルギーがかかります。つまり木造は、省エネ工法ともいえるのです。