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ゾ   ラ       セザンヌ と ゾラ     セザンヌ と ゾラの 絶交


ゾ       ラ


ゾラ
ゾラはクロード・ベルナールの『実験医学研究序説』とバルザックの大長編小説『人間喜劇』に影響を受けています。ゾラは『実験医学研究序説』と『人間喜劇』を意識しつつセザンヌと友情を深めていきます。

a)クロード・ベルナール『実験医学研究序説』



ベルナールと弟子たち
「その人にとっては害にのみなるような実験を、決して人間において実行しない、しかしながら、それを受ける患者の利益になるようにという見地に立ってつねに実験したり、或いは手術をしたりしつつ、同時にこれを科学のために利用することは少しも差し支えない。実際また、このようにすることは当然である。家畜用として或いは食料品として動物を用いる権利があるのに、他方においては人類のために最も有益な科学の一つにおいてこれを研究に供することを禁じているとしたら、これは実際極わめて不合理のことと言わねばならない。何もここで躊躇している必要はない。生命の科学は実験によってのみ築き上げることができるのである。」 犬の膵臓を切り取り、糖尿病が膵臓に原因があるなどの実験の支えとなりますが、皮肉にもこれにより動物虐待に対する運動が起こります。

b)バルザックの大長編小説『人間喜劇』

バルザックの長編の一部に『知られざる傑作』があります。それは十七世紀の架空の天才画家、フレンホーフェルの絶対美の追求と挫折を物語です。セザンヌは感慨深げに、「この主人公はこれはまさに私である」と言ったという話が残っています。セザンヌはこの物語については、「絵画」に興味を持っていたのではなく「画家の生き方」に興味を持っていたと思われます。つまり、バルザックの「知られざる傑作」があのような「セザンヌ気質」を作ったように思えます。セザンヌは合理的、時代性、科学性、理論を重視していました。その確固たる姿勢は小説家、批評家ゾラの裏付けになっていると思います。セザンヌの絵画に対しての姿勢はゾラのバックーボーン。画家でないゾラが多くの画家について新聞評論できたのはセザンヌのおかげです。セザンヌもゴーギャンやゴッホと同じように聞いてくれる人が必要でありました。つまり絵を描くという場合、自分の考えを確かめながら創作することは芸術家の信念を強くすることであると思うのです。反面、聞き手であるゾラは批評家としての自信を深めていくことになります。ゾラはずっとセザンヌの意見をパリ通信に投稿し、マネ、セザンヌなどの印象派を擁護する文章を書きつづけました。
また、彼は「クロードの告白」などの小説を書き始め、1877年「居酒屋」や「ナナ」がベストセラーになり売れっ子になり、そしてお金も出来ます。いじめられっ子、ゾラがあんなに偉くなるなんて!!(セザンヌとゾラの関係はゾラが成功してもその上下関係は変わらなかったそうです。)ゾラの小説は気の遠くなるような続き物「ルーゴン・マッカール双書」、「居酒屋」、「ナナ」もその続き物の一部、ゾラは印象派を新しい社会にでてきて旧社会を変えるものと擁護しました。ゾラ、セザンヌ、印象派の人たち、この時代の巨匠たちが集まり、色々なお話しをしたと思います。私のHPの「アブサン」のところにある「ドガのカフェにて」はゾラの「居酒屋」と関係があります。当時、アブサンという安い酒は肉体と精神を蝕むとされ社会問題になっていました。
ゾラの考え、小説は印象派の人たちに大きな影響を与えています。モネ、ルノアールにしてもしかりです。そのゾラの根本的支えとなっているのがセザンヌの絵に対する信念です。(セザンヌの絵には時代性、合理性というものが大きな要素となっています。「画家アシル・アンプレールの肖像」は足の部分が変で、へたな絵とおもっていましたら、小児麻痺による足をそのまま描いてあるということを知りました。障害者を描いた世界で始めての絵ということになります。)ゾラは人間に対する環境と遺伝の影響力を重要視するに至り、第二帝政下における一家族の遺伝的歴史を扱う「ルーゴン・マッカール双書」を構想します。この物語は壮大でセザンヌがモデルとされる「作品」もその中の一つになっています。
画家アシル・アンプレールの肖像 →

c)「ルーゴン・マッカール双書」

この物語はバルザックがその時代を著した壮大な長編を意識して書かれました。この大作の趣旨は以下のようです。エクスらしき土地で生まれた女性が健全な男ルーゴンと結婚し、一人の子供をつくる(これは良性)。その男がなくなった後、アルコール中毒でいかがわしい男マッカールと二人の子供をつくる(悪性)。その3人の子孫達が子供を増やしどのようになるかという物語。芸術家は悪性遺伝子を持つ子孫から生まれます。悪い遺伝子と良い遺伝子を受け継ぐ子孫の物語が延々と続きます。

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