別れた配偶者に子供の養育費を払ってもらえますか?
養育費とは、子供が自立するまで監護、教育するために必要な費用です。衣・食・住の経費、教育費、医療費、最小限度の娯楽費などです。養育費は、親権の有無とは無関係に親子関係から当然に発生します。両親はそれぞれの財産・収入に応じて養育費を負担する義務があります。
養育費は、いくらもらえますか?
養育費は、子供を育てるのに現にかかっている費用・今後かかるであろう費用と、両親の財産・今後の収入・経済状態などを踏まえて決められます。従ってその額は個々の事情によって変動しますが、一般的には子供1人の場合は月2〜6万円、子供2人の場合は月4〜6万円といったケースが多いようです。
養育費を決めるとき気をつけておくことは?
養育費は毎月の分割払いになることが多いので、支払いの期間(子供が何歳まで)、支払い金額(毎月何万円)、支払い方法(振込か手渡しか)について具体的に決めておく必要があります。 取り決めは、「離婚協議書」などの名称で合意文書として書面にし、支払いをしてもらえない場合に備えて「公正証書*」にしておいた方がよいでしょう。合意内容を「公正証書」にしておくと簡単な手続で相手の給料の差押等ができるようになります。
協議(話し合い)で決まらないときには、家庭裁判所に養育費請求の調停を申し立てます。「調停」でも合意できない場合は、「審判」や「裁判」で決定することになります。家庭裁判所では、両親の財産・収入や子供のために必要な生活費や教育費を考慮して決定します。
養育費は、両親・子供それぞれの事情に変化があれば養育費の免除・減額・増額を求めることができます。増額の事情としては、子供の入学・進学の費用、病気や怪我による治療費、監護者(受け取る側)の病気・怪我、転職、失業などによる収入の低下などが考えられます。また減額の事情としては、支払う側の病気・転職・失業などによる収入の低下、監護者(受け取る側)の収入増などが考えられます。
家庭裁判所に養育費増額請求の調停、養育費減額請求の調停を申し立てます。ただし、先に述べた増額・減額の事情があっても、裁判所はそれ以外の様々な状況を踏まえ総合的に判断するため、必ず養育費の変更が認められるということではありません。
家庭裁判所で調停・審判離婚をしている場合は、裁判所から履行勧告・履行命令(払うようにという勧告命令)を相手方に出してもらえます。
強制執行の申し立て等を行い、相手の給料や財産等を差押えて、そこから養育費相当分を受取ることになります。ただし、強制執行ができても相手に収入や財産が無い場合には、強制執行をしても手続費用がかかって何も受取れないという場合もありますので、まずは弁護士にご相談下さい。
夫婦が離婚について話し合って、合意できれば離婚をすることができます(協議離婚)。離婚届出書を夫婦の本籍地または住所地の市区町村役場に提出します。
未成年の子供がいる場合、離婚するにあたり子供の親権者をどちらかに決めなければなりません。決まっていなければ、離婚届は受理されません。
いったん決めた親権者を後から変更することも可能です。ただし離婚後の親権者の変更は、家庭裁判所が、子供の福祉上の観点から、様々な調査をした上で決めることになりますから、容易ではありません。
もし、無断で離婚届が提出された場合、法律上離婚は無効ですが、無効を確認するためには、裁判所への申し立てなど非常に手間がかかってします。また離婚無効が認められても、戸籍への記載が残ります。離婚の話し合いがもめている場合、あらかじめ役所に「離婚届不受理申出書」を出しておくのがよいでしょう。申出書提出後6ヶ月間は、取下げをしない限り、離婚届は受理されません。
離婚について当事者間で話し合いをしてもまとまらない場合や離婚の話し合い自体ができない場合には,家庭裁判所の調停手続を利用することになります。調停手続では、離婚後の子供の親権者・親子の面接交渉(面会,交流)・養育費・財産分与・慰謝料についても一緒に話し合うことができます。調停委員が間に入っての話し合いですから、当事者が対面して話すことは、ほとんどありません。
調停手続で離婚の話し合いがまとまれば、調停が成立し離婚することが出来ます(調停離婚)。調停成立時にそれぞれに渡される調書のなかに、夫婦が離婚することや慰謝料・親権その他の条件が記載され、判決と同様の効力をもつことになります。
離婚について家事調停で解決ができない場合には,離婚訴訟を起こすことになります。 調停手続では、離婚後の子供の親権者・親子の面接交渉(面会,交流)・養育費・財産分与・慰謝料についても一緒に話し合うことができます。裁判になると厳しい人格攻撃のような主張がされる場合もあり、当事者の精神的負担は重くなりがちです。